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【FCバルセロナ】5-2ヘタフェ久保建英 ラ・リーガ20-21第32節を分析!?

前半戦の勢いに陰りが出ている首位アトレチコ・マドリーとCL準決勝進出を決めましたが、離脱選手が続出してベストメンバーを組めない2位レアル・マドリードを追いかける3位バルセロナと日本人随一のタレント久保建英選手が所属するヘタフェが対戦したラ・リーガ20-21シーズン第32節カンプ・ノウで行われた試合を分析してみます。

※ゲーム前の予想記事に興味がある方はこちらをご覧下さい 

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久保建英スタメン出場!?

 予想に反して久保建英選手はスターティングメンバーで起用されました。ヘタフェ5-1-3-1と思われるシステムで後方に人数を割くことで久保建英選手アレニャ同時起用させるアイディアをボルダラス監督は採用し、さらに意外だったのが前線から2列目の並びを右アレニャ中央マクシモビッチ左に久保選手を配置したことでした。

右サイドでのプレーが得意久保選手左サイドで、中央やや低い位置でのプレーが得意なアレニャに起用した監督の狙いは解りませんが、この采配によりヘタフェの左サイドは攻撃面で良い容を見出していました。

サイドMF起用が多かったククレジャを元来プレーしていた左サイドDFで起用、高い位置でプレーする久保選手を孤立させること無くサポートすることで選択肢と時間が与えられると共に中央のマクシモビッチも絡むことで相手のサイドを崩す場面を創り、1-1の同点ゴールを演出しました。

得意としない左サイドでのプレーで前方へボールを運ぶことは可能でしたが、縦に突破することは出来ずにストップして味方のサポートを待つ場面が何度か見られました。

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ここで気になったのが久保建英選手のフィジカルです。通常はデュエル、いわゆる相手選手と競り合う場面での身体的強さで評価される事が多いと思いますが久保選手はトップスピードでプレーしている際に,相手選手の対応を見て瞬時に選択肢を変えたプレーの直後に自身の体をコントロールできずにバランスを失う場面見られました。

ただ単に成長過程身体が出来上がっていない事も原因の一つと思われますが、久保選手の特徴である左利きにも関わらず右足でもボールをコントロールできることも要因として考えられるかもしれません。

通常は自分の利き足でボールを運ぶことでバランスを保ち視野を確保しながらドリブルする選手が多いのですが、日本人選手に良く見られる光景で久保選手両足でボールタッチしながらドリブルします。

利き足だけでのタッチとは違いリズムの変化と選択肢が広がる事で相手選手が次のタッチを予測するのが難しくなる利点はありますが、自分自身の体の芯を保つことが難しく急激なストップや瞬間的なスピードアップでは力を発揮するのが難しいプレー方法だと分析できます。

久保選手得意の右サイド1対1を仕掛けて相手を抜き去る場面を思い出してください。顔を上げて得意の左足でボールタッチしながら相手へ向かっていきます。次に変化を加えるために右足でのタッチを織り交ぜたりしますが、ほとんどの場合、相手を抜き去るタッチは左足です。

似たような体形で左利きお手本となる対戦したメッシのドリブルと比べてみて下さい。メッシは基本的に利き足の左でボールタッチします。右足は捕捉時に使う程度変化を加えるのはボールタッチの強弱、歩幅の変化(ステップ)、上半身の揺さぶりで最終的に相手を抜き去るのは方向転換によるものが多いと思われます。

細かいテクニックで言えばトップスピードでボールを運んでいる時でもアウトサイドだけではなくつま先でのタッチを織り交ぜる事で相手が予測しづらい微妙な変化を加えています。

常に利き足でタッチする事で身体は安定して急激な変化の力を発揮できる状態でプレーしていると思われます。

若かれし頃のメッシは現在よりもキレがあるドリブラーでしたが、身体が出来上がっていない時期でも足を滑らす場面以外では体のバランスを自ら失う場面はほとんど見られませんでした。

 

身体的なフィジカル能力の向上も必要だと思われますが、久保建英選手がこの先成長してワールドクラスの選手になる為にはプレースタイルの改善が必要になるかもしれません。

バルセロナ前半<盤石の中盤>

クラシコ”の敗戦でリーグ戦の戦いは難しくなりましたが、コパ・デル・レイを制してクーマン監督体制となってから初タイトルを手に入れた現在のバルセロナチームとして機能し始めたと思います。

デ・ヨングを中央にした3DFでチームバランスを手にしてから、怪我で離脱していたピケが復帰した事でデ・ヨングを以前までのインサイドMFで起用してトップでプレーしていたデンベレがスタメンから外れる形でメンバー構成されています。

右サイドにはデストに代わって復帰したセルジ・ロベルトが先発に抜擢されて新たな戦術的な変化も見られました。

相手DFラインの裏への飛び出しとゴール前への侵入でチームに貢献してきたデストとは違うプレーで更なる進化を感じさせるセルジ・ロベルトの起用インサイドへ向けてプレーできることです。

対峙する相手サイド選手を引き出し中央方向へプレーする事で背後にスペースを創りインサイドMFで出場しているデ・ヨングがサイドに流れるポジションを取り、メッシハーフスペースや状況によってはサイドでボールを受けてゴール方向に向けてプレーする場面を多く創り出していました。

ヘタフェの左サイドバルサの右サイド前半の両チームの起点となっていたと分析しました。

両チーム共のオウンゴールで1失点しましたがメッシの2得点3-1とリードして前半を終えたバルサブツケスペドリデ・ヨング中盤選手の活躍が目立ちました。メッシ1点目をアシストしたブスケツは全盛期を彷彿させるグラウンダーの縦パスを供給して攻撃のスイッチを度々入れていました。

デ・ヨングは前途の通りセルジ・ロベルトポジションを入れ替えることも容易にこなして縦方向へのランニングや味方選手のサポート、中盤でのゲームコントロール出色のプレーだったと思います。

サッカー用語で何と呼ばれるプレーは解りませんが、一般的に言う相手DFライン裏へのスルーパスのようなパスMFとDFライン間のスペースに配給する能力は非常に魅力的です。

相手DFライン裏へのスルーパススペースをケアできるのがGKのみで、味方の受け手をいかにしてゴール方向へ直接プレーできるようなパスの質で勝負が決まりますが、MFとDFライン間のスペースへのパス前向きに味方選手をプレーさせる事が可能になり無数の選択肢を創るきっかけのパスと言えます。

しかしながら、選手が多くスペースが狭い相手MFと視野を確保している相手DFのわずかなスペースを利用するパスは非常に難しく技術とセンスが必要なスキルだと思います。

右サイドから中央へ動くメッシへデ・ヨングが通したパス、受けたメッシ相手のDFラインの裏を狙ったグリーズマンへのパスは若干の呼吸のズレから辛うじて相手DFがスライディングで阻止しましたが、2つのスペシャルなパスが連続で繰り出されていて非常に魅力的なプレーだと思いました。

今シーズンからの新加入で18歳とは思えないプレーレギュラーに定着したペドリのプレーも良く、2点目は相手DFがプロとして犯してはいけないミスではありましたがペドリのドリブルを阻止したのが始まりでした。相手のプレスが掛からない味方へ容易にパスを繋げる状況判断が魅力ですが、現在のバルサを支えているのはボールロスト後のペドリのトランジションも重要な要素だと思います。

相手の選択肢を奪うようにすぐにプレスに動くペドリより早くパスを呼び込むポジションを獲れる相手選手は少なく、プレスを受けた選手苦し紛れのキックを強要されて結果バルサボールになる場面が多いと感じました。

やはりバルセロナのサッカーは中盤での構成力がとても重要だと改めて分析できるMFのプレーだったと思います。

 

不可解なヘタフェ!? 

前半の途中からマクシモビッチを前線に上げて右サイドのアレニャを中央へ移動させて4-4-2のような陣形に形を変えたヘタフェは良い場面を創れないまま前半を終えました。

後半開始からは前半に久保選手と良い連係があったククレジャマクシモビッチアレニャベンチに下がりました。

故障などのアクシデントでもない限りボルダラス監督が下した決断は理解に難しく、交代して出場した選手の特徴を考えるとフィジカル的要素を高める為だけの采配に映ります。

左サイドでボールを受けた久保選手のグラウンダーでのセンターリングに合わせようとした交代出場のFWエネス・ウナルバルサDFの軽率な対応からVARでPKを獲得して2-3と迫ります。

バルサ陣内の深い位置にボールが下がれば全体を押し上げてハイプレスを掛けたい意図は感じました中途半端な強度と連動のプレッシングでは意図的にボールを奪うことはできず久保選手もほとんどプレーに関与することなくヘタフェは試合を終える事となりました。

バルセロナ後半<ポリバレントデ・ヨング

2点のセーフティーリードを得たバルサピケラングレに変えてDFアラウホMFモリバを投入、セルジ・ロベルトを右ウイングに固定して中盤でプレーしていたデ・ヨングをセンターDFに変更した4-3-3(左サイドのFWは置かずにセンターにメッシとグリーズマンを配置した変形型)後半をスタートしました。

前半ほどの躍動感は失われボール保持は出来ているが、相手を意図的に動かし、スペースを突くようなゲームコントロールは見られなくなります。

PKによる失点もあり、良い流れを創れない状況を変えたいクーマン監督の采配はDFウンティティを投入して3DFに戻し、右サイドには攻撃に特徴があるリンコンを出場させました。

この変更によりインサイドMFでスタメン出場したデ・ヨングは後半から4DFセンター左側で、後に3DFの右でもプレーする事となります。

ボールを持てばパスとドリブルで相手の隙間を突きオフ・ザ・ボールでも縦方向のフリーランニングと味方選手を補完するポジショニングなどでポリバレントな能力を発揮して現状のバルサでは不可欠な存在であることを証明したと言えるのではないでしょうか。

終盤にはメッシのCKからアラウホが頭で合わせたゴールは昔から通づるスピードが有る速いボールをGKへ向かう前のニアポスト付近、ヘディングで合わせる教科書通りのゴールと、自ら獲得したPKでグリーズマンが得点して最終的には5-2バルサの勝利が確定しました。

※シーズン前にクーマン新監督の戦い方を予想した記事に興味がある方はこちらをご覧ください

 

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 今後のバルセロナの戦い!?

終盤戦を全勝して逆転優勝をねらうバルセロナ前半のメンバーとシステムが基本となると思います。ここに選手交代4DFへのシステム変更などで変化を加えるオプション後半のメンバーローテーション使用時の中心メンバーだと考えられます。

アラウホモリバデイフェンスを重視した場合の起用で攻撃にアクセントを加えるオプションリンコンデンベレブライスバイデ中盤ではリッキ・プッチピヤニッチの起用になるでしょう。

ピケセルジ・ロベルト復帰した事で選手の配置を多様化して組織の特徴に変化を加える要素が数段上がったと分析します。

残り7試合首位アトレチコ・マドリーと直接対決を控えるバルセロナの今後の試合を分析して予想するには面白い試合であったと思います。

バルセロナの戦い方久保建英選手活躍と成長へのヒントなどを独自で分析して残りのシーズンを楽しんでみてはいかがでしょか?

※再シーズンのバルセロナを考察した記事に興味がある方はこちらをご覧ください

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