【久保建英】日本代表2022カタール・ワールドカップ アジア最終予選初戦オマーン代表~中国代表戦へ向けた戦略を考察!?
ワールドカップでベスト8進出を目指し2022カタール大会への出場権を賭けて、絶対に負けられない戦いに挑む日本代表はアジア最終予選、ホームにオマーン代表を迎えた大事な初戦を0-1で落としてしまいました。
オマーン戦を分析して日本時間9月7日深夜24:00カタールのドーハでキックオフ予定の中国代表戦に向けた日本代表の戦略を考えてみようと思います。
日本代表0-1オマーン代表
大雨が降りしきる中で開始された試合は両チーム共に慎重な立ち上がりだったと思います。
ピッチコンディションを考慮して自陣からのビルドアップよりも早めに敵陣に侵入したい意図が感じられた一方、守備時でも前線からの積極的なプレスは行わずに互いのゲームプランが感じられない状況でオマーンがボールを保持している時はプレッシャーを感じずにパスを受けている印象でした。
ボールコントロール時にプレスが無いので良い状態の相手選手に寄せる日本代表のディフェンスはオマーンの攻撃方向を限定できずに自陣エリア付近まで簡単に攻め込まれる状況に対してボールを奪った後の日本代表のポジショニングも相手の状況を見極めた立ち位置ではなく、プレスを行わないオマーン選手にパスコースを限定されてサイドから中央へのパスを何度もカットされる悪い流れで試合が進みます。
オマーン代表は中盤をダイヤにした4-4-2で中央をしっかり閉める意識が高く、2トップと中盤の立ち位置によりパスコースを限定させてサイドから中央方向へのパスコースを日本代表選手が創る事ができずにマークが空いている逆サイドにボールを回せる機会は限られていました。
原口、伊東の両サイドMFは孤立した状態で攻撃は行き詰まり、サイドDFや大迫、鎌田との連動は見られないまま前半を終えます。
オマーンは足元の技術に優れた選手が度々、局面で日本代表のプレッシャーをかわしてボールを前進させてペースを握っていた印象です。
特に20番の選手は駆け引きが上手く、流れを創っていたと感じました。
後半開始から左サイドMF原口にかえてスコットランドリーグのセルチックで活躍する古橋がピッチに立ちますが、左サイドDF長友との息が合わずに効果的な仕掛けは見られませんでした。
トップに張っていてもパスを受けられない大迫が中盤のハーフスペースに降りてパスを引き出そうとしますが、パスのタイミング、コースが限定された状態でディフェンダーに巧く対応されて打開策は見出せず、鎌田に関しては数えるほどしかボールに触れていない状況に変化を加えるためにオリンピックで躍動した久保、堂安がトップ下の鎌田、右サイドMF伊東に代わって投入されます。
オマーン選手の距離間よりも近い距離で連動できる久保、堂安の2選手は3人目も絡めながら中央の狭いスペースをこじ開けようと試みますが4人目、5人目と連動する事が出来ずに決定機を創るには至らない日本代表はボールロスト後のプレッシングで好機を創りたいのですが良い形でボール奪取できずにオマーン代表のカウンターを受ける展開は続きます。
焦りが見える日本代表はやや強引な形でオマーンゴールに近づこうとしますが、バランスを崩した状態で攻撃を仕掛けた後のディフェンスは脆く、終了間際にワンツーで右サイドのスペースを使われてアーリークロスから痛恨の失点を喫してしまいました。
長友、柴崎のサイドで後手を踏んだ対応、クロスに対してニアのスペースにタイミングを合わせて背後から侵入するセオリー通りの相手FWの動きに対応できない中央の守備は強豪国どころか、アジアでも勝ち残るのが難しいと思われる状態に映りました。
「負けるべくして負けた」キャプテン吉田選手のコメントが総てを表している試合内容だったと感じます。
中国代表戦に向けた戦略を考察!?
オーストラリア代表相手に0-3で敗れた中国代表も良い状態ではないのが想像できますが、日本代表と立場が同じで負けられない大切な試合となります。
中立地カタールのドーハでの戦いは移動などのコンディション面の調整も重要で状態の良い選手が起用されるでしょう。
システムはオマーン戦とほとんど変わらず相手陣内深い位置からプレッシングを掛けるのが得策だと考えます。
FWとトップ下で相手のセンターDFと中盤へのパスコースを限定してサイドへボールを追いやり、両サイドMFは素早い出足で相手に選択肢を与えずに中央方向へのパスを中盤でカットしてゴールへ向けてプレー出来れば一番良い容だと思います。
アバウトなロングボールにはしっかり競り合って数的有利を活かしてビルドアップに繋げるのが理想的です。
日本代表の連動を分断したオマーン代表と中国代表は同要の戦術を採用する可能性も考えられます。
ビルドアップ時は相手選手の立ち位置の中間にポジションを取って、リターンパスを織り交ぜて相手選手を引き付ければ次のパスコースが生れ逆サイドへの展開や縦パスのコースを創る伏線になります。
攻撃ではボールを保持してサイドを起点に相手の守備組織の隙間を突いて積極的な仕掛けからゴールへ向けてプレーする事が求められます。
FWが相手サイドDFの裏スペースを狙う動きだしと、中盤のハーフスペースに降りる動きをきっかけにトップ下が空いた中央のスペースをサイドMFと連動して攻略するのが理想のシナリオだと思います。
2ボランチの一枚もエリア内に走り込める距離感を保ちながらボールを動かし、相手DFラインを広げるにはサイドDFの攻め上がりも必要となります。
サイドMFのパスを受ける位置を見極めて大外もしくは内側の裏のスペースへ走り込みボール保持者の選択肢を増やす事が相手DFの迷いを誘い、決定機に繋がる手前の大事な要素だと言えるでしょう。
ゲームが進みオープンな展開になってきた状況ではスピードも大切な要素です。
オマーン戦では発揮できなかった相手の戦い方に応じた変化を監督だけでなく、ピッチに立つ選手の意識で解決策を見出すのが強豪国に勝つには不可欠な能力だと考えています。
日本代表スタメン予想!?vs中国代表
GK:権田 修一
右サイドDF:山根 視来
センターDF:冨安 健洋
センターDF:吉田 麻也
左サイドDF:中山 雄太
ボランチ:守田 英正
ボランチ:柴崎 岳
右サイドMF:堂安 律
トップ下:久保 建英
左サイドMF:鎌田 大地
FW:大迫 勇也
離脱した酒井宏樹に代わりバランスとビルドアップを重視して山根、戦術的インテリジェンス不足が垣間見えた長友に代わりオリンピックで安定した守備を見せた中山を両サイドDFで起用すると予想しました。
連戦の疲労からパフォーマンスに影響を感じる遠藤の代わりに守田、南野が不在なので左サイドMFに鎌田、久保、堂安で2列目を構成。
鎌田と共にオマーン戦の反省を活かすためにも大迫を先発起用して古橋、オナイウはオプションとして変化を期待したいと思います。
右サイドMFの伊東は途中出場からも独力でチャンスを創れる選手なので後半以降に出場機会が回ってくると思われます。
流れを創れない場合には遠藤の投入も考えられますが、攻撃的センスに秀でるボランチでゲームをコントロールするのが理想的なので柴崎のパフォーマンスにも注目しています。
試合のみどころ!?
まずはオマーン戦にベテラン選手を起用して低調なパフォーマンスで敗戦を余儀なくされた森保監督のスターティングメンバーに注目です。
大幅に選手を入れ替えない場合は残りの予選を含めて本大会に向けてもチームがマイナーチェンジしながらレベルを上げる姿が想像できない状況です。
逆に思い切って全員を入れ替えるくらいの覚悟が見られれば今後も選手の組み合わせや戦術的バリエーションの増加にチャレンジする可能性を感じさせるでしょう。
日本代表が実力で上回り試合をコントロールする狙いでスタメンを予想しましたが、中国代表がオマーン代表のような立ち位置を取ってきた場合はビルドアップ時に3DFのような陣形を採用するのも面白い試みですが、プレッシャーがかかる負けられない試合でリスクを冒しても試合中に変化を加えるかも注目したいポイントです。
中国代表は初戦のオーストラリア戦では枠内シュート0本と攻撃の形を造れていないと予想されます。
対人プレーの激しさで活路を見出そうとする事が予想されるので、ワンタッチプレーを織り交ぜて接触をさけて決定機では相手の悪質なファールにより退場者がでる可能性も考えられます。
フィジカル的に発展途上の久保などは背後からや、タイミングの悪い相手のチャージを受けない為に本人のポジショニングと彼へのパスに意図を込めることが必要になりそうです。
フィジカル能力に長けた佐々木、昌子、植田の起用も状況次第では効果的かもしれません。
試合前に理想の戦いを想定したプランA、準ずる戦いでより良い選択肢と成り得るプランB、Cと試合状況を分析して瞬時に対応を発案する解析と発想の能力が監督、スタッフ、選手に求められるサッカーをゲームとして考えた場合の魅力的な要素だと思います。
試合目の自分自身で予想したプラン、監督が選んだスターティングメンバーからの戦略の予測、ゲーム展開を観戦して両チームの良い部分、悪い部分の分析、自分自身が考える解決策、監督が決断した戦術、選手個々のパフォーマンスと連動性、相手監督の采配と選手個々のパフォーマンス、予想されるゲーム展開、などを想像しながら結果を含めて絶対に負けられない試合を観戦してみてはいかがでしょうか?