サッカーライフin Mzk74’s diary

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【分析】EURO2020準決勝イタリアvsスペイン感想!!

優勝候補が軒並み早期敗退する波乱の60周年記念大会EURO2020にて予選から好調を維持して本大会でも内容と結果を伴う形で勝ち進んできたイタリア代表と、黄金時代から新たなサイクルに向けて成長を模索しているスペイン代表が対決した準決勝の好ゲームを自身の価値観で分析してみました。

※ユーロ2020予想記事に興味がある方はこちらをご覧ください

mizuka74.hatenablog.com

イタリア代表スターティングメンバー

 GK:ドンナルンマ

右サイドDF:ロレンツォ

センターDF:ボヌッチ

センターDF:キエッリーニ

左サイドDF:エメルソン

レジスタジョルジーニョ

インサイド右MF:バレッラ

インサイド左MF:ヴェラッティ

右サイドFW:キエーザ

センターFW:インモビーレ

左サイドFW:インシーニェ

 

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イタリア代表スターティングメンバー

優勝候補ベルギーに完勝したスタメンから負傷離脱した左サイドDFスピナッツォーラ代わりエメルソンが起用されましたが通常通り4-3-3で臨みました。

スペイン代表スターティングメンバー

GK:シモン

右サイドDF:アスピリクエタ

センターDF:エリック・ガルシア

センターDF:ラポルテ

左サイドDF:ジョルジ・アルバ

ピボーテ:ブツケス

インサイドMF:コケ

インサイドMF:ペドリ

右サイドFW:オヤルサバル

センターFW:ダニ・オルモ

左サイドFW:フェラン・トーレス

 

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スペイン代表スターティングメンバー

スイス戦からはDFパウ・トーレスに代わりエリック・ガルシア、FWは選手、配置の違いは有りますが4-3-3で理屈上はミラーゲームとなるシステムですが実質ゼロ・トップの役割を担うダニ・オルモが中央で起用される意外な采配だったと思います。

前半ゲームをコントロールしたのはスペイン!?

好調で勢いに乗るイタリア代表はベルギー戦と同じゲームプラン、前線からのプレッシングと中盤の組立から左サイドを起点とした攻撃をプランニングしていたと思われます。

対するスペイン代表も自国が黄金時代を築いたポゼッション中心のゲームコントロールからゴールを目指す同様なスタイルで堂々と対抗する中で、今まではサイドで起用されていたダニ・オルモをゼロ・トップで起用する新たなオプションをぶつけました。

3DFのベルギー代表にたいして前線から積極的なプレッシングでビルドアップを分断して高い位置でボール奪取を成功させていたイタリア代表ですが、育成年代から戦術的ビルドアップを当然のように理想とする環境を勝ち抜いてきた選手が選出されるスペイン代表はイタリア代表の連動したプレッシングを上回ってボールを前進させてゲームをコントロールしていました。

ブツケス+シャビ+イニエスタからブツケス+コケ+ペドリ

EURO2連覇、ワールドカップを征したスペイン代表は主要大会を3回連続して優勝した黄金時代を築きました。

時を同じくヨーロッパサッカー界で記憶と記録に残る圧倒的なパフォーマンスで魅力的なプレーモデルを確立して伝説的チームとなったFCバルセロナでも共通してチームの根幹を担った中盤はピボーテのブツケス、インサイドMFシャビ、イニエスタの3選手でした。

今大会で完ぺきに近い内容で勝ち上がってきたイタリア代表の中盤はジョルジーニョ、バレッラ、ヴェラッティが担い、ボールポゼッションを基軸に戦うチームでも最も重要な存在と認識され伝説のスペイン代表中盤と比較されるまでのパフォーマンスを発揮していました。

伝説の一人、ブツケスがキャプテンとなった今回のスペイン代表の中盤はアトレチコ・マドリーの象徴的な選手であるコケと若干18歳でFCバルセロナでも不可欠な存在となったペドリで形成されて伝説の中盤と比較すると発展途上の段階でしょう。

注目されたボール保持でゲームをコントロールしていたのはボールポゼッションのマイスター、スペイン代表でした。

絶妙な距離感と角度でボールホルダーをサポートしてリターンパスを出し入れするだけでイタリア代表のプレッシングの隙を生み出すMFコケのプレーは序盤にペースを掴みたい両チームに大きな影響を与えたと思います。

前線からのプレスを回避されても中盤から後方にかけても、連動してディフェンスするイタリア代表のプレッシングを無力化するブツケスの縦パスは攻撃のスイッチを入れる最高のプレーだったと感じました。

18歳で代表でも定位置地を掴んだペドリはパスを受ける味方選手に時間を提供する才能に長けていて、彼を経由することでチームの選択肢を広げることができる希有な選手でしょう。

ポゼション的な能力のみならず決定機を創出するラストパスでも突出したセンスを持ち合わせていてブツケスからの縦パスを受けて相手DFの視線を集中させた直後にゴール前に走り込むオヤルサバルへ通したスルーパスは末恐ろしい程の才能を証明するに値するプレーだったと思います。

ダニ・オルモの存在感!!

個性を発揮してボールポゼッションで優勢を生み出す事に最も重要だったのは受け手となるゼロ・トップのダニ・オルモだと分析します。

センターFWでスタメン起用されたオルモですが、ブツケスを中心にパスを繋ぐことで相手ファーストデイフェンスを破り、攻撃のスピードを上げる瞬間にパスの受け手となる相手MFとDF間にタイミング良くポジショニングして、さらに受けたボールを相手のプレスが掛からない角度へ提供する事でイタリア代表を苦しめ、スペイン代表がペースを握るキーマンだったと思います。

サイドでのドリブルでの仕掛け、際どいコースへのクロスなど将来性が高く、将来が楽しみなタレントです。

ゲームをコントロールしたスペイン代表の守備戦術!!

伝統のカテナッチォからカルチョのスタイルが変わりつつあるイタリアにて組織的な戦術に中盤選手のタレントを活かしたポゼッションスタイルを確立段階の現チームではレジスタのショルジーニョとトライアングルを組むヴェラッティ、バレッラの能力を最大限に発揮するのが重要な要素となっています。

チャンピオンズリーグで優勝したチェルシーでも同じ役割を担うジョルジーニョがパスを受けて相手を動かしボールを逃がす役割を担い。巧みなボールキープでプレス回避と危険なエリアへの侵入や味方選手との連動で変化を創るヴェラッティ

代表では地味な存在ながらもハードワークと質の高いプレーで中盤を席巻するバレッラに対策を持って臨んだスペイン代表がペースを握ったのは必然かもしれません。

プレーメーカージョルジーニョにはペドリ、インシーニェと連携で左サイドに起点を創るヴェラッティにハードワーカーのコケをマンマーク気味で対応させました。

ブツケスとバレッラは結果論的にマッチアップする事になり、互いに好パフォーマンスで相手からボールを奪った直後はビックチャンスを創出していたと思います。

常にパスを受けて方向を変える事でペースを創るジョルジーニョですが、ペドリが意図的に牽制する事で存在感を消されてしまい、逆にペドリが外へポジショニングする事で自身の運動量の増加と中央のスペースケアに不具合が生じていたと分析します。

ヴェラッティに対してもコケが常に意識してケアする事で本来の輝きを発揮するには至りませんでした。

結果的にマッチアップすることになったブツケスは前半に出色のパフォーマンスで攻撃のスイッチを入れていましたが、バレッラのセンスに屈してボールを奪われるシーンもみられましたが、戦況を読み的確な判断を伴ったボールロスト直後の前進守備でゲームを掌握していたと感じます。

イタリアの組立で不可欠なジョルジーニョヴェラッティへの配球を遮断したオフ・ザ・ボールの戦術とビルドアップでブツケス、オルモの希有な能力が噛み合ったスペイン代表が優位にゲームを進めていたと思います。

 

イタリアの対抗手段!! 

どこまで予想していかは分かりませんが現イタリア代表チームのストロングポイントが発揮されたのはブツケスとマッチアップしたバレッラ、ベテランDFキエッリーニボヌッチ、GKドンナルンマが形成するディフェンス陣だったと分析します。

インシーニェを起点に攻撃を仕掛けていた今大会のイタリア代表ですが、準々決勝のベルギー戦で魅せた左サイドの輝きは準決勝のスペイン代表戦では薄れていました。

逆にベルギー戦ではプレー関与が少なかった右サイドのキエーザが存在感を発揮して唯一のゴールを決めました。GKドンナルンマの素早いフィードからインシーニェが出したスルーパス、こぼれ球を拾ってから決めた唯一の得点には選手個々のクオリティを感じさせるに十分なカウンターアタックだったと思います。

 

 PK戦の末イタリア代表が決勝進出!! 

ボールポゼッションを中心としたゲームコントロールをプレーモデルに持つ両チームの内容ではスペインが優位に試合を進めていたと思います。

特にFW3選手の起用が与えた影響は大きくルイス・エンリケ監督が途中交代で切ったカードも効果的だったと思います。

先制点を奪ったイタリアは選手の交代を含めて4-1-4-1に布陣を変えて中盤のスペースを消す対策だったと思いますが、ヴェラッティの交代により左インサイドに移った直後のバッレッラが若干のバランス感覚を失った瞬間を見逃さずにDFラポルテからFWモラタに通した縦パスにより堅守を誇るイタリアDFはボールホルダーへのアプローチを優先せざる負えなくなり、絵にかいたようなリターンパスで中央を突破したスペインのゴールはサッカーでエモーションが起こる素晴らしいシーンだったと思います。

左サイドでタメと変化を創りイタリア攻撃の中心を担ってきたインシーニェがトップへポジションを変えてからはスピード重視のカウンターに切り替わり個人の能力にプラスして全体を押し上げて複数の選手が絡む事で決定機を創った終盤の戦いも見事でした。

試合中に活躍したダニ・オルモが外し、持ち味を封じ込まれていた最終キッカーのジョルジーニョが勝利を決めるのはPK戦の常だとも感じました。

2大会ぶりに戻ってきた決勝戦でイタリア代表がどのようなプレーを魅せてくれるのか楽しみです。

最後に、いつの時代でもイタリア代表のユニホームがカッコよく感じるのは私だけでしょか?

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