サッカーライフin Mzk74’s diary

サッカーと共に生きる

チャンピオンズリーグはバイエルンが優勝しましたが来シーズンの展望を考えてみました。

昨シーズンのリバプール同様に、今シーズンチャンピオンズリーグバイエルン・ミュンヘンが独自のプレッシングスタイルを確立し実力、内容に比例して結果も伴い見事に7シーズンぶり6度目のビックイヤーを獲得しました。

 

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準決勝に進出した4チームはドイツ、ブンデスリーガから2チームバイエルン・ミュンヘンRBライプツィヒ)、フランス、リーグ・アンから2チームパリ・サンジェルマンオリンピック・リヨン)で近年では珍しくイングランドプレミアリーグとスペイン・リーガ・エスパニョーラのチームが残ることが出来ませんでした。

ベスト8に残ったチームを見てみると、バルセロナアトレチコ・マドリードのリーガ勢マンチェスターC(プレミア)アタランタセリエAです。

 

世界最高峰のゲームが展開されるチャンピオンズリーグ勝戦以外はホーム&アウェー2試合の合計結果によって勝敗が決しますが、今シーズンは新型コロナウイルスの影響を受けてラウンド8以降は中立地での一発勝負で勝敗が決するイレギュラーなシーズンとなりました。

ワールドカップ的な短期トーナメントに趣きが変わり1試合目の結果、内容によって戦術的駆け引きが重要となる従来の戦い方とは異なり、勢いやチームの調子に結果として影響が受けやすく、準々決勝以降の拮抗した試合が2試合分減った影響も史上初、バイエルンの全勝優勝を後押しした要素でなないでしょうか?

 

試合序盤の決定機を先に決めたチームが優勢に試合を進めたのは言うまでもありませんが、拮抗したゲーム展開や劣勢の時に特定の選手の個人能力による得点に頼るのではなく複数の選手がチャンスに絡みゴールを決める攻撃パターンを持つチームが勝ち残った感じが有ります。

とは言っても9試合で15ゴールのレバンドフスキーがバイエルンの優勝に多大なる貢献をしたのは間違い有りませんが、勝戦の唯一のゴールを決めたのは準決勝はリザーブメンバーだったキングスレー・コマン(フランス代表)ですし、準決勝のリヨン戦で2ゴールを決めたのは今大会で世界的に地位を確立したと思われるニャブリ(ドイツ代表)準々決勝のバルセロナで先制ゴールを決めたのはワールドカップ準優勝選手のペリシッチクロアチア代表)でした。

 

周囲の選手の得点力とレバンドフスキーのオフ・ザ・ボールでの献身的な守備への貢献の要素が相まって15ゴールが生まれたのだと分析しました。

優勝したバイエルン・ミュンヘンの戦術的特徴は後方でチアゴ・アルカンタラ(スペイン代表)がセンターバックとボールを動かす事により相手のプレスに的を絞らせずに隙をみてハーフスペースに良質なパスを供給する場合と、センターバックからを含めて両サイドの高い位置にロングボールを供給する事で攻撃のスイッチを入れていると感じました。

 

ここからがバイエルンの凄いところなのですがサイドから中央へ向けたロングパスも含めてキックの精度が悪く簡単に相手にボールが渡る場面が多々ありますが、ボールが空中にある時点から守備の準備が始まっていて、相手に渡ったボールを一瞬で刈り取ってゴールに繋げる場面は今大会では何度も見られた最大の強みだったと思います。

クラブ初の決勝戦へ進出したパリ・サンジェルマン前線からの積極的なプレッシングと定位置守備からのロングカウンターに活路を見出していたと感じました。

 

なかでもボランチで起用されたマルキーニョス(ブラジル代表)の守備での貢献度は高くラウンド16のアトランタ戦では終了間際にゴールを決めて大苦戦した試合の逆転劇の狼煙を上げて攻撃でも能力を発揮しました。

攻撃面で違いを創り出すのはテクニックとインテリジェンスを要するネイマール(ブラジル代表)と献身性と高い技術で大活躍してアンヘル・ディ・マリア(アルゼンチン代表)そしてケガから復帰して途中から出場してくるエンバペ(フランス代表)のスピードは対戦相手が対応できない圧倒的な変化をもたらしていました。

 

バイエルンの中盤の底ゲームをコントロールするチアゴがプレーするエリアパリSGが主導権を取る為両脇のスペース創出にショートパスでハーフスペースに侵入できればパリSGネイマールディ・マリア、エンバペの能力が発揮できたと思います。

決勝に勝ち上がってきた2チームをはじめライプツィヒアタランタマンチェスターC、アトレチコ・マドリードとスピードも含めた走力が上位進出チームの特徴と言えるでしょう。

バルセロナ的な静的ポジショナルプレーは走力と連動性を高めた上位チームに対抗するには、局面での質的優位を最大限に発揮しなければ位置的優位性を確保できずに、通常リスクが低い相手陣内でのポゼッションですら自らリスクを高めている状況だったと分析しました。

人が動く事で相手が対応する必要性に迫られる動的なポゼッション攻撃面ではチャンスを創出できますが、ネガティブ・トランジションの場面で中盤からの前進守備が確立できないとカウンターを受ける可能性が高いとも思います。

 

逆に言えば近代サッカーではいかにしてカウンターを受けない戦術を設計して攻撃を構築できるかが勝利へのキーポイントかもしれません。

戦術のアップデートで常に最新のトレンドを生み出すペップ・グアルディオラのポゼッション重視の戦術にはカウンター回避はセットとなっているのは有名ですね。

今回のマンチェスターCはレアル・マドリードには競り勝ちましたが伏兵とも言えるリヨンに敗れる結果となりました。

終了間際のスターリングの決定機は外す方が難しい場面でしたが、決定機を創出する回数が減ってきているのは、イマジネーションや即興性の部分で以前ほどアドバンテージが得られなくなったのが原因だと思われます。

アトランタライプツィヒは監督の思考する戦術が選手に良く浸透していて選手の能力と戦術が合致して最良のパフォーマンスを発揮している良い例となっているの思います。

 

トレンドである走力にも着目したスカウティングで戦術に合う選手を獲得してきたことと、相手ディフェンスに2択を迫らせて対応した状況を利用するパターンに近い戦術チームに浸透させることで優位性を確保しているのは近年の戦術競争がオリジナルと多様性に富んできている事を立証する結果ではないでしょうか?

 

歴史を振り返ると80年代中頃までは選手の能力に依存しても個人の突出したパーソナリティーでチームを勝利に導くスーパースターの時代でした。

 

1987年頃に出現したアリーゴ・サッキ率いるACミランが攻撃的プレッシング戦術で状況が変わり、1990代からは組織化されたチームによるボールゲームにサッカーのトレンドが進化しました。

この時も個人の突出した能力を凌駕しはじめた統率されたフィジカル能力の差が結果に表れやすい時代だったと思います。

同時期にバルセロナのポゼッション志向の基となったクライフ監督率いるドリームチームは圧倒的なアドバンテージがあったとは言えず、ブラジルのサンパウロFCには優位性を発揮することなく敗れ、晩年は攻撃的なプレッシングを抑えてより守備的に戦ったカペッロ監督に率いられたACミランに決勝で大敗を喫する結末を迎えてしまいました。

クライフが求めたサッカーを守備と選手のタレント性を組み合わせて最良化に成功したのがペップ・グアルディオラ監督が率いたティキ・タカのバルサだったと思います。

 

来シーズンの展望ではメッシがどのクラブに移籍するのかで情勢が変わってくる状況になってしまいました。

ポゼッションサッカーを目指す上では即時奪回を組織的に実現するプレッシングがセットとなった現代サッカー戦術では持続的な守備を遂行する点でチームにフィットさせるのが難しい存在になったメッシを活かせるチーム、監督、クラブがあるのか?

カウンター戦術でも大きな戦力で一人で局面を打開してチームを勝利に導くことが可能なメッシどのような戦術にフィットさせるのかが最大の焦点になるかもしれません。

アトレチコ・マドリードのようにソリッドな守備戦術からのゲームコントロールが得意なチームも新たな攻撃手段を確立できればリーグをリードする存在になえるとも予想できます。

レアル・マドリードは守備でのミスからマンチェスターCに敗れはしましたが、中盤の安定感を取り戻してリーガを制しました。

 

ベンゼマと相性が良いサイドの位置からゴール前に侵入して得点を奪うのが得意な第二のストライカーの獲得に成功すれば再びヨーロッパ頂点に帰り咲くことも可能でしょう。

ゲーゲンプレスを押し出したスタイルからリニューアルを遂げて、サイドバックを含めた大きな展開からアグレッシブにゴールを目指す特徴を武器にプレミアリーグを独走で優勝したリバプールも、相手がコンパクトな陣形を維持した場合の打開策が来季のゲームプランとして改善が求められる課題でしょう。

 

スペースを有する時には相手の背後を狙える走力を備えながらも狭いスペースでも局面を打開する能力にも特徴を発揮できる選手の補強、発掘が来季の結果に影響しそうです。

南野拓実フィットしてレベルアップすれば相手チームは難しい対応を迫られることになります。

もし、リバプールにメッシが加入することがあれば、現状の優位性を若干失う可能性はありますが、モデルチェンジしたクロップの戦術が見れるかもしれませんね。

走力を押し出したプレッシングとムービングによるサッカーが来季でも優位性を保つのは間違いないと思いますが、クリエーティブな要素を加味しながら変化にチャレンジする勇気を有するクラブ、監督、選手が組織的に挑戦することが可能なチームが来季の主役になると予想します。

パリSGトゥヘル監督に解任の噂が有りますが、今シーズンに決勝に進出したチームを基盤にアゴ・シルバが抜けた部分の補強とイカルディと新戦力を組み合わせたプランを見いだせれば来シーズンは今季以上の結果を残す可能性があると感じました。

みなさんは来季をどのように展望しますか?