21-22CL優勝レアル・マドリード~22-23シーズン展望
2018-19チャンピオンのリヴァプールを決勝戦で破りレアル・マドリードが史上最多14回目の優勝で幕を閉じた21-22シーズンを総括しながら22-23シーズンを展望してみます。
レアル・マドリード
CLとラ・リーガの2冠を達成したレアル・マドリードは特筆する程の戦術や戦略を感じる事は有りませんでした。
ラ・リーガではライバルであるバルセロナの不安定感に助けられ安定したシーズンを送ったと言える一方、CLではパリ・サンジェルマン、チェルシー、マンチェスター・Cと優勝候補相手に驚異的な逆転劇で決勝に進み、前回の優勝時に破ったリヴァプールとの決勝戦では堂々たる戦いぶりでチャンピオンに返り咲きました。
今シーズンと同様にベンゼマ、ヴィニシウスの能力に頼った攻撃とモドリッチ、クロースのゲームコントロール、DFラインとGKクルトワの強固な守備が来シーズンも根幹を担うでしょう。
カルロ・アンテロティ監督のマネージメント力でカマヴィンガ、ロドリゴを組み込んでチームの底上げを図り、献身性と走力が特徴のバルベルデが存在感を増してくると予想します。
イスコ、ベイル、マルセロの退団が発表され、エンバペの獲得に失敗した現状ではアザールの進退と新たに獲得する選手、レンタルバックされる選手によって現チームからの変化に着手することになりそうです。
レアル・マドリード予想メンバー
GK:クルトワ
右サイドDF:カルバハル
センターDF:ミリトン
センターDF:アラバ
左サイドDF:メンディ
アンカー:カマヴィンガ
MF:バルベルデ
MF:モドリッチ
右FW:久保建英
センターFW:ベンゼマ
左FW:ヴィニシウス
アセンシオ、ロドリゴ、アザール、久保でポジションを争う事が予想され、ベンゼマ不在時のオプションの構築が必要でしょう。
中盤ではクロース、モドリッチ、カゼミロがローテーション起用されてセバージョスの起用も多くなると予想します。
FCバルセロナ
最終的に2位となったバルセロナはシーズン当初の状態からよく持ち直なおり、今後に繋げるシーズンとなりました。クーマンからシャビ監督に代わりクラブのアイデンティティに沿った戦術を採用してカンテラを起用し、冬の補強で獲得したフェラン・トーレス、オーバメヤン、トラオレの活躍とデンベレの復調が後半戦の戦いに大きく影響を与え順位を上げる事に成功しました。
財政面が苦しいクラブ事情を考慮するとチームの核となりうる選手を複数獲得するのは難しく、来シーズンも引き続きチームを成熟させる為の時間となりそうです。
噂されるレバンドフスキーを獲得できれば戦力は大幅に増加されて選手の配置は今シーズンとは変化が見られると予想します。
FCバルセロナ予想メンバー
GK:テア・シュテーゲン
右サイドDF:アスピリクエタ
センターDF:アラウホ
センターDF:エリック・ガルシア
左サイドDF:ジョルジ・アルバ
ピボーテ:ブツケス
インテリオール:デ・ヨング
インテリオール:ペドリ
右ウイング:フェラン・トーレス
センターFW:レバンドフスキー
左ウイング:オーバメヤン
アタッキングエリアでの創造性は外国選手の個性を取り入れて中盤から後方はバルセロナ伝統のボールポゼッションとプレッシングによるゲームコントロールをDNAに組み込んだカンテラーノが中心のメンバー構成が理想でしょう。
デ・ヨングが抜けた場合はガビやニコ・ゴンザレスが抜擢されケガから復活したアンス・ファティはセンターもしくは左サイドでプレー可能で契約を延長した場合はデンベレも戦力として期待されます。
相手DFラインを下げる背後への狙いとライン間のスペースを攻略する中間ポジションを活かしたプレーモデルをシャビ監督が復活させる事が出来ればラ・リーガでは優勝争いを繰り広げる戦力は十分に整うと予想します。
マンチェスター・C
CLではまたしても決勝戦へ駒を進められなかった”ペップ”シティーですがプレミアリーグではリヴァプールとの強烈な争いを制して2年連続でタイトルを獲得しました。
新加入のグリーンリッシュは期待される程のプレーを発揮できませんでしたが、アカデミー出身のフォーデンの成長が著しく戦力的にも戦略的にも世界のトップチームだと思います。
来シーズンは怪物ハーランド加入が決まりFW陣の顔ぶれに変化があると予想できますが、試合ごとに狙いを変える"ペップ"采配では2セット分の選手層が求められるので放出候補はスターリング、ガブリエル・ジェズースに絞られそうです。
マンチェスター・C予想メンバー
GK:エデルソン
右サイドDF:ウォーカー
センターDF:ディアス
センターDF:ラポルテ
左サイドDF:カンセロ
ピボーテ:ロドリ
インテリオール:デ・ブルイネ
インテリオール:ベルナルド・シウバ
右ウイング:マフレズ
センターFW:ハーランド
左ウイング:フォーデン
21-22シーズンの主力メンバーにハーランドを組み込んだ布陣に落ち着くと予想します。左サイドではグリーンリッシュ、右サイドにはガブリエル・ジェズース、インテリオールにはギュンドアンが控えますが、毎年マイナーチェンジを施す"ペップ"は右サイドにデ・ブルイネ、フォーデンやカンセロ、左サイドにはグリーンリッシュやジェシチェンコ、アケを組み込んでサイド攻撃からハーランドの後方を攻略する戦術を構築してくる可能性も考えられます。
バルセロナ時代にCLを制した後にセンターホワードタイプのイブラヒモビッチを獲得して戦術的な幅を広げるチャレンジが結果的に成功しなかった“ペップ”が今回はハーランドを完成系に近いチームにどう組み入れて変化を生み出すか注目のシーズンになりそうです。
リヴァプールFC
クロップ体制になってから2回目のファイナルとなったCLと2シーズンぶりの奪還を狙ったPLを逃しましたが、カップ戦で2冠を達成してチーム力を少しずつ上積みして安定的なパフォーマンスを見せた21-22シーズンだったと思います。
攻撃の中心選手マネが退団を表明している事から新規で獲得する選手を含めて新たなチーム編成を構築する時間が必要となりそうです。
リヴェプールFC予想メンバー
GK:アリソン
右サイドDF:アレキサンダー・アーノルド
センターDF:コナテ
センターDF:ファン・ダイク
左サイドDF:ロバートソン
アンカー:ファビーニョ
MF:ヘンダーソン
MF:チアゴ・アルカンタラ
右ウイング:サラ
センターFW:フィルミーノ
左ウイング:南野拓実
両サイドDFの能力を活かしたダイナミックな攻撃が持ち味ですが、マネが抜ける事でカウンターの破壊力が減少する可能性が考えられます。よりボール保持時の攻撃のクオリティーを上げる狙いで中盤と連動した崩しが得意なフィルミーノと南野が存在感を発揮する編成になると予想しました。
ディアス、ジョッタのポルトガル代表は個の能力で流れを変える事が可能で勝負所で切り札的に起用されると思われます。
カスティー・ジョーンズ、レンタルバックしたエリオットの若手コンビも魅力的な選手でありチェンバレン、ケイタ、ジョー・ゴメスとバックアップ選手のレベルも高いです。
チーム戦術で重要な役割を担う両サイドDFが代えの利かない選手となっておりアーノルド、ロバートソン不在時のオプションの構築が戦力増強の課題だと言えそうです。
パリ・サンジェルマン
メッシを獲得してCL優勝へ向けて準備が整ったと思われた21-22シーズンでしたがレアル・マドリードに敗れてリーグ1制覇のみと不本意なシーズンとなってしまいました。
バルセロナ時代と比べて得点数が大幅に減少したメッシのパフォーマンスに批判が集まっていますがアシストではリーグ2位(1位エンバペ)の記録を残していて彼の能力をチームが活かし切れていないとの見方もできるでしょう。
タイトルを獲得したアルゼンチン代表での圧倒的なプレーを見るとタレント性溢れる選手達を上手く組み合わせて補完するメンバー構成を見出して攻守にバランスが取れるチーム創りが必要でしょう。
ジダンのようなカリスマ性を持つ監督と戦術的に長けたコーチングスタッフを招聘する事で急激にチーム力を上げる可能性も秘めたチームと思います。
パリ・サンジャルマン予想メンバー
GK:ドナルンマ
右サイドDF:ハキミ
センターDF:セルヒオ・ラモス
センターDF:キンベンベ
左サイドDF:クルザワ
トップ下:シャビ・シモンズ
右ウイング:メッシ
センターFW:エンバペ
左ウイング:ネイマール
デ・マリアの退団が決まった現時点ではこの3人が攻撃を担うのは間違いないでしょう。中盤は想像力のヴェラッティに運動量と守備バランスを担保できる選手の獲得が前線3選手の能力を補完してチーム力を上げる必要なピースだと思います。
セルヒオ・ラモスがシーズンを通してプレーできる場合はブラジル代表のマルキーニョスを中盤で起用する可能性も有りえるでしょう。
ビルドアップから攻撃を仕掛ける場合は両サイドDFの能力も必要でベルナト、ヌーノ・メンデスの起用も効果的なゲームもあると考えます。
ネイマール、エンバペ、メッシがエゴイストとならずにチームプレーに徹する事ができればCLでも結果を残す事は可能だと思います。
22-23チャンピオンズリーグ展望
上記したレアル・マドリード、バルセロナ、マンチェスター・シティ、リヴァプール、パリ・サンジェルマンに加えてバイエルン・ミュンヘンが主軸の争いになると思われます。
国内リーグで難しいゲームを数多く強いられ、2つのカップ戦を並行して戦うプレミア勢はコンディション面を考えると厳しい戦いになるのと比べるとドイツ、フランスのリーグ戦では1強に近いバイエルンとパリにアドバンテージがありそうです。
完成系に近いチーム状態にハーランドを加えたマンチェスター・Cが戦力面では充実している一方、バルセロナ、パリ、バイエルン、リヴァプールはチームを徐々に構築していけるかがポイントとなるでしょう。
アンチェロッティ率いるレアル・マドリードが21-22シーズンのように表意的な粘りで戦術的には説明不可能なゲーム内容で勝ち上がる可能性もありますが、高齢となったクロース、モドリッチに代わる選手の成長が必要不可欠だと思います。
10年ぶりにセリエAを制したACミランやチェルシーのように対戦相手に合わせた戦略を練り試合ごとに自チームを変化させるチームがリアクション戦術で勝ち上がってくる可能性もあるでしょう。
現時点でのポールポジションはマンチェスター・Cだと考えていますが、バルセロナ/シャビ、リヴァプール/クロップ、バイエルン/ナーゲルスマンの監督の采配とメッシ、ネイマール、エンバペを擁するパリ・サンジェルマンの2年目にも注目できそうです。