【久保建英】U-24日本代表 東京オリンピック2020サッカー 大会を展望!?
開会式に先立って7月22日に初戦を戦った東京オリンピック2020男子サッカー、自国開催で53年ぶりのメダル獲得に期待されるU-24日本代表を中心に大会を展望してみようと思います。
※グループリーグ第2戦U-24日本代表vsU-24メキシコ代表戦の予想記事に興味がある方はこちらをご覧ください
グループリーグ第1戦の結果
グループA
メキシコ代表4-1フランス代表
日本代表1-0南アフリカ代表
グループB
ニュージーランド代表1-0韓国代表
グループC
エジプト代表0-0スペイン代表
オーストラリア代表2-0アルゼンチン代表
グループD
ブラジル代表4-2ドイツ代表
1年の延期を経て開催された東京オリンピック2020はイレギュラーなレギュレーションでU-24代表が争う大会となりました。
FIFA国際Aマッチではなくアンダーカテゴリーの世界大会となるオリンピックは各選手が所属するクラブチームに選手派遣の義務は発生せずにビッククラブもしくはクラブの中心として期待される選手が出場できない矛盾した世界大会でもあります。
3名までのオーバーエイジ枠の選手の招集も同様で出場国の大会への想いがクラブチームの理解を得る事に繋がらなければベストメンバーを招集ことは不可能でしょう。
U-23ベストメンバー+OA枠の重要性!?
1996アトランタ大会 U-23ナイジェリア代表(カヌー、オコチャ、オリセー、ババンギダ)
2000シドニー大会 U-23カメルーン代表(エンボマ、エトー、ジェレミ、ウォメ)
2004アテネ大会 U-23アルゼンチン代表(アジャラ、テベス、マスチェラーノ、サビオラ)
2008北京大会 U-23アルゼンチン代表(リケルメ、メッシ、アグエロ、デ・マリア)
2012ロンドン大会 U-23メキシコ代表(ヒメネス、エレーラ、ファビアン、ジョバンニ)
2016リオ大会 U-23ブラジル代表(ネイマール、マルキーニョ、チアゴ、アウグスト)
※()内は主力選手
日本代表がマイアミの奇跡(日本1-0ブラジル)を起こした1996アトランタ大会からU-23カテゴリーの大会となり、各チーム3名まで24歳以上の選手を招集できる規定となりました。
上位に進出した各国は23歳以下選手のベストメンバーにプラスしてA代表でも主軸を担う選手を招集できたチームが金メダルを獲得している実績は今大会でも参考になる要素だと思います。
グループリーグ突破チームを予想!?
過去のデータを見ても主要国際大会で初戦で勝ち点を落としたチームが決勝トーナメントへ進むのは非常に難しいミッションとなります。
グループリーグ突破のライバルとなるチームと初戦を引き分けた場合は得失点差で結果が決まる可能性も増えます。
強豪国では初戦を引き分けてから徐々にチームを熟成させてトーナメントに入ってから真価を発揮して優勝するパターンも考えられるでしょう。
U-24日本代表は世代別代表では歴代最高のタレントを揃えてOA枠にも現A代表で欠かせない経験と実力を兼ね備えた選手達を招集しました。
自国開催でなければ海外でプレーする選手の所属チームが参加を拒否する可能性が高いのですが現在考えられるベストメンバーを招集できた事はメダル獲得へ向けて非常に重要だと感じます。
初戦はアクシデントに見舞われた南アフリカに苦戦を強いられましたが大会の主役として活躍が期待される久保建英が決勝ゴールを決めて1-0で勝利を収めました。
同グループのメキシコ4-1フランス戦を観る限り、第2戦のメキシコ戦が今後の戦いに大きな影響を及ぼす鍵となる試合だと推測します。
守備的戦術で組織的に戦い、終盤に攻撃に転じた際はポテンシャルを感じさせた南アフリカに対してフランスはチームとして機能しているとは言い難く勝ち点0で大会を去る可能性すら感じさせました。
グループリーグ突破、メダル獲得のライバルと思われるメキシコ戦では内容でも相手を上回り、勝利を手に入れれば金メダルへの道筋も見えてくるでしょう。
似たスタイルで戦う両チームですが局面や試合の流れを読んだ駆け引き、決定力ではメキシコ、組織的な守備と中盤の組立、複数人の連動と個人のタレント力では日本が優位だと分析しました。
Aグループ:日本・メキシコ
Cグループ:スペイン・オーストラリア
Dグループ:ブラジル・コートジボアール
上記8ヶ国の代表チームが決勝トーナメントへ進出すると予想しました。
優勝候補を分析!?
グループリーグ初戦の主要な試合を観た感想ではスペイン、ブラジルが優勝に一番近い位置にいると感じました。
2番手グループには自国開催で他国に比べて招集選手の質とコンディション面でアドバンテージがある日本、グループリーグ第2戦で対戦するメキシコのもメダル獲得の可能性があると思います。
U-24スペイン代表の特徴
ベスト4に進出したEURO2020のA代表で戦った6選手とOA枠にもA代表入りして活躍するポテンシャルを秘めた選手を集めて今大会での戦力は頭一つ抜けている印象を受けました。
A代表でもレギュラー級GKシモン、DFパウ・トーレス、MFペドリ、FWオヤルサバル、ダニ・オルモにラ・リーガで活躍するアセンシオ(レアル・マドリー)、ダニ・セバージョス(レアル・マドリー)、ミゲル・メリーノ(レアル・ソシエダ)にバルセロナの育成機関ラ・マシアで久保建英と幼少期をすごしたDFエリック・ガルシアを擁してスペインサッカーの象徴とも言うべきボールポゼッションを基軸としたゲームコントロールが特徴的で育成年代から戦術的な要素を前面に出したスペインサッカーで成長してきた選手達は周りの状況に合わせてプレーすることを自然に行えていると感じさせます。
初戦で2選手が負傷するアクシデントがありましたが、22選手とエントリー選手が増えている今大会では登録の18人を入れ替えて凌ぐことも可能でしょう。
両サイドDFと決定力が大会中に改善されれば金メダルにかなり近い存在だと思います。
U-24ブラジル代表の特徴
前回の自国開催リオデジャネイロ大会で初めて金メダルを獲得したブラジルはサッカー王国と呼ばれていた以前のサッカーから近年は程遠い内容に終始いています。
1996年に日本代表と対戦したブラジルはまさに王国に相応しいタレントを擁していましたが、優勝した前回のチームもネイマールに依存したカウンター型のチームだったと記憶しています。
OA枠選出のDFダニエウ・アウベスが戦術的なプレーで全体のバランスを整えていますが、個と組織が融合してボールテクニックと駆け引きで相手を凌駕するスタイルではなく、縦に早くパワーとスピード勝負でゴールを狙うチームと分析しました。
プレミアリーグでプレーして先日コパ・アメリカ準優勝のA代表でもレギュラーのリシャリルソンのハットトリックで強豪ドイツに勝利しましたが、3-0から2点を奪われる展開に持ち込まれるなどゲームコントロールで相手を圧倒するには至っていません。
ブルーノ・ギラマインス(リヨン/フランス)とドウグラス・ルイス(アストン・ヴィラ/プレミア)のダブルボランチは安定感があり右ウイングでプレーするアントニー(アヤックス/オランダ)はテクニックに優れたブラジル人らしいプレーヤーです。
リシャリルソンとトップを組むクーニャ(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)は初戦で決定機をことごとく外していましたが決定機に絡む回数が多く能力を発揮すれば怖い存在になるでしょう。
途中から右サイドで出場したパウリーニョ(レバークーゼン/ドイツ)は4点目を決めてクオリティの高さを証明しました。
マルコム(ゼニト/ロシア)、マルテネッリ(アーセナル/プレミア)が控える攻撃陣は選手交代によるオプションは豊富です。
2失点を喫したディフェンス面で安定したパフォーマンスに改善できれば2002日韓ワールドカップで優勝したように2連覇も可能でしょう。
U-24メキシコ代表の特徴と攻略方法!?
7番ロモが攻守の中心になり、組織力と前線のタレントに特徴のあるチームだと分析します。
GKには経験豊富のオチョア。モンテス、バスケスのセンターDFは空中戦にも強く安定感があります。
日本が得点を奪うには初戦でフランスがPKを獲得したようにカウンターで裏を取る方法が考えられるでしょう。
ビルドアップ時はセンターDFの間にロモが降りて3DFの陣形になります。日本はトップ下で起用される選手を前線に上げて2トップの形でプレーサイドを限定させてサイドへ追い込み、中央へのパスを前向きに奪って攻撃に繋げることが出来ればペースを握る事が可能になると思います。
パスコースを見いだせない場合はシンプルにロングボールを前線に送るのもメキシコの特徴です。9番マルティネスはキープ力があり起点を創られると苦しいので日本はセンターDFの一人が競り合い、片方は後方のスペースをケア、ダブルボランチが素早く挟み込んでボールを奪うのが理想的だと思います。
メキシコの攻撃は17番コルドバの前線への飛び出し、右サイドの10番ライネスのドリブル、11番ベガのパワーがアクセントになっています。
日本はチャレンジ&カバーを徹底できるように選手間をコンパクトに保ち、DFラインの裏へのボールにはGKの飛び出しと、ゴールカバーを併用して高い位置でのディフェンスで対応すれば自陣エリア付近でのプレーを避けることが可能でしょう。
ボール保持者を複数人で囲んでボールを奪うメキシコのディフェンスを逆手に取って中盤から数的優位を創ってバイタルエリアに侵入ればゴールチャンスが増やせると分析します。
U-24日本代表 決勝トーナメント1回戦を予想!?
メキシコとのライバル対決を制したと予想しAグループ首位でトーナメントに勝ち抜けた日本はBグループ2位のホンジュラスとの対戦になると仮定しました。
大会前のトレーニングマッチでは3-1で勝利した日本が優位なのは大半の予想でしょう。
前回リオデジャネイロ2016ではベスト4に躍進したホンジュラスは自国のオリンピア所属の選手を中心にチームを編成しています。
10番イタリアのレジーナでプレーするリヴァスへの注意が必要ですが前線からのプレッシング、中盤でのブロック守備を使い分けて奪ったボールを両サイドへ展開して連動した攻撃が仕掛けられれば勝利は可能な相手だと思います。
グループリーグ3戦を終えて選手のコンディション面が影響されるメンバー構成になると思いますが、残る試合を勝ち抜くためにも運を引き寄せる選手の出現が期待されます。
U-24日本代表 準決勝vsU-24スペイン代表戦を予想!?
グループリーグを1位突破してアフリカのコートジボアールを撃破したと想定したスペインが準決勝の対戦相手と予想しました。
本大会前最後のトレーニングマッチを1-1で引き分けて実力が拮抗した戦いが予想されるカードですが自国開催のアドバンテージが日本に優位に働く事が考えられます。
スペインは守備時に4-2-3-1、攻撃時は4-3-3でボール保持率を高める為に攻撃から守備への切り替えは3FWのままハイプレスを採用し、回避された場合は4-2-3-1での定位置守備を基本戦術に戦うと思います。
自陣からのビルドアップでは両サイドDFを高く配置して中盤に数的優位を創り相手を揺さぶりながらエリア内への侵入を試みると予想します。
今大会最高のタレント力で局面でも違いを発揮する事が可能ですが、ビルドアップ時に中間ポジションでパスを引き出すダニ・オルモ、ペドリへのコースを遮断して外回りでパスを回させて片方のサイドに攻撃を限定させるディフェンスで対応できると考えます。
後方のDFラインとダブルボランチの安定が勝利には不可欠でセットプレーも勝敗を分けるポイントとなるかもしれません。
ボール保持率ではスペインが上回ってもカウンター攻撃の連動性と個人のクオリティでチャンスを創出して相手にペースを渡さない事が勝率をあげる方法だと考えます。
※メンバー発表前のU-24日本代表の考察記事に興味がある方はこちらをご覧ください
U-24日本代表 決勝vsU-24ブラジル代表戦を予想!?
決勝に進出した事でメダルを確保した日本は歴史上最高順位を確定させてプレッシャーよりも金メダルを勝ち取るポジティブなメンタリティーで決勝戦に望むことが可能でしょう。
Cグループ2位のオーストラリア、Aグループ2位メキシコに接戦の末、決勝にたどり着いたブラジルはフィジカルコンディションが苦しい状況だと推測します。
全体の組織力より局面での対応力で勝ち進んできたチームは選手の特徴がダイレクトに反映される為、大幅な選手交代はリスクが大きく主力選手の疲労が蓄積された状況でしょう。
2年前にブラジルの地で対戦したトレーニングマッチでは日本が内容的にも圧倒して勝った経験が両チームのメンタルに与える影響も高いと思います。
前半は互いに決定機を決めきれずに0-0で終えて後半の開始早々に日本が先制ゴールを決めればブラジルは強引に攻めざる負えない状況になります。
次々と攻撃的な選手を交代で出場させるブラジルは被カウンター時の対策まで組めずに前掛かりになる事が予想されます。
日本は粘り強い守備と金メダルへの活力で集中を切らさずに終了間際に追加点を奪って2-0で勝利するのが現実的で理想的なプランだと思います。
優勝には中2日で6試合を勝ち抜く非常にタフな大会で自国開催できるのは大きなアドバンテージです。1年延期された今大会は未だにコロナウイルスの影響でチームを構築するのも通常以上に難しい大会になったことは間違いないでしょう。
久保建英、堂安律、冨安健洋、田中碧など世代最高のタレントとA代表の主力を融合させてチーム創りを進めてきた森保ジャパンは世界一の称号を得る絶好のチャンスを手に入れたと思います。
ワールドカップでベスト8に残ったことがない日本ですが年齢制限や所属クラブの制約などさまざまな条件下で争われるオリンピックで実績を残す事が未来の日本サッカーの礎を創るきっかけになると思います。
目の前の1試合に集中して選手の持つ能力をチーム力に融合させて日本国民に夢と希望を与える大会になる事を心から願っています!!
※大会初戦U-24日本代表vsU-24南アフリカ代表戦の予想記事に興味がある方はこちらをご覧ください