【久保建英】ヘタフェ移籍決定!!2020-21シーズン後半戦を考察!?
レアル・マドリードからビジャレアルにレンタル移籍が決まり、飛躍のシーズンとなる事が期待されていた久保建英選手のビジャレアルからの退団が決定的になりました。
移籍先の有力候補ヘタフェでの起用方法、ビジャレアルでの半シーズンを分析しながら、シーズン後半の久保建英選手の活躍を予想してみます。
異例のレンタル移籍!?
19歳の誕生日に20世紀最高のクラブ、レアル・マドリードと契約を発表された久保建英選手は世界中の将来を有望されている選手のなかでも有力なタレントであることを証明した結果と言えるでしょう。
現在レアルでプレーする同世代の選手はヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエスとブラジル代表にも召集されるほどの評価を得ている選手です。
ラ・リーガで1試合でのメンバー入りが認められているEU圏外の選手は3名で、上記の二人とブラジル代表のセンターDFエデル・ミリトンの3選手で埋まっています。
移籍直後のプレシーズンにレアルに合流してトップチームに帯同した久保選手はトレーニングとプレシーズンマッチの出場を通じて能力を評価されていました。
しかしながらEU圏外登録選手の関係から2軍にあたるカスティジャでシーズンをスタートすることになります。
仮に選手登録の事情を抜きに考えた場合、トップチームでの起用も考えられるほどの能力を証明していた久保選手本人もスペインのトップリーグで出場できるだけの自信を持ったと推測できます。
レベルは落ちるがフィジカルコンタクトは激しい実質3部リーグでプレーするよりも質が高いトップリーグで出場して経験を積む方が良いと判断したクラブと久保選手はマジョルカへのレンタル移籍を決断します。
当時のマジョルカは3部リーグから監督と主力選手が堅実な組織を構築して1部まで昇格してきたチームで残留が現実的な目標でした。
1部リーグで通用するか半信半疑だった入団当初は日本代表への合流でチームを抜けた事も影響してベンチを温める時期がありましたが、年が明けて後半戦に突入してからは徐々に存在感を高めて、シーズンの終盤にはもっとも期待される選手にまで成長しました。
迎えた今シーズンを前に将来の投資として獲得した久保選手を移籍で売却する気が無いレアルに対してスペイン国外のクラブからも獲得のオファーが殺到します。
保有権が無いレンタル移籍では即戦力として計算できる選手を獲得して、チームに不可欠な選手となった場合の影響を踏まえて買い取りオプションを契約に含めるのが通例です。
発展途上の選手を買い取りオプション無で獲得するのはリスクが高く、資金力が無いクラブと選手に出場機会を与えて成長を促せる狙いがレンタル元と合致した場合に実現するケースになります。
現在レアル・マドリードでケガから復帰して復調の兆しをみせているスペイン代表のアセンシオはマジョルカから獲得した後にエスパニョールにレンタルされて才能を開花させた良い例だと思います。
出場機会が見込めないチームへは双方にメリットが無い為にレンタル移籍が決まらないのが現実ですが、ビジャレアルは昨シーズンに5位と好成績を収めてELに参戦する実力があるチームで、選手育成で成長してきた実績があり、資金的にも安定したクラブです。
国内のリーグ、カップ戦と並行してELを戦う為に選手層を充実させたいビジャレアルと十分な出場機会が与えられると確信したレアル、久保選手サイドの思惑が合い1年限定の買い取りオプション無でレンタル料と年棒を含めると6億円とも言われた異例の契約で久保選手はビジャレアルにレンタル移籍が決まりました。
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久保建英、エメリ監督、ビジャレアル
マジョルカでは主に4-4-2の右サイドMFで活躍した久保建英選手、左利きで視野が広くドリブル突破からバイタルエリアへ侵入するプレーが得意な選手にとっては持ち味を発揮しやすいポジションと言えます。
残留を争うチームは攻め込まれる場面が多く、4-4で守備ブロックを形成する能力も求められるのが原因で序盤戦では信頼を得るには至らずにゲーム終盤のオプション的な出場に留まっていました。
身体能力の差で競り合いには向かないプレースタイルの久保選手は守備で貢献する為にポジショニングで補う事で活路を見出して徐々に出場時間を延ばしていき、攻撃での能力を証明して守備重編のゲームでは中央のファーストディフェンダーとしての役割を与えられながら、左サイドにも進出して違いを生み出すプレーでチームに貢献する姿も頻繁にみられるようになりました。
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エメリ監督の特徴はバランスを巧く調整しながら選手の能力をチームに還元させる采配でしょう。
突出した選手の能力を最大限に利用するタイプではなく、チームバランスを考慮した範囲内で選手の能力を適応させることを好んでいると考えられます。
パリ・サンジェルマンではネイマールやカバーニといった個を融合させるには至らずに選手の最大値を発揮させることが出来ず、アーセナルでも規律を守ると良さが半減してしまうエジルを組織に込みこむことが出来ずに期待された結果を残すことが出来ませんでした。
バレンシアとセビージャでの実績で評価を得たエメリ監督はスペシャルな選手がいない戦術的レベルが高いチームを率いる時に真価を発揮するタイプの監督だと推測できます。
現在のビジャレアルには適した監督だと思われますが、バルセロナやレアルのようにスペシャルな選手がいる集団をまとめるのは難しいタイプだとも考えられます。
今シーズンから就任したビジャレアルは今季2敗と悪い成績ではない事は監督の能力に寄与する部分も大きいと思います。
戦術、戦略的にも様々なアイディアを持っていると思われて今後のビジャレアルも今以上にレベルが上がる可能性が十分に考えられます。
しかしながら、就任1年目でチームの基盤を構築していく過程で戦術的に計算できない選手を組み込む余裕は無く、発展途上の久保選手の起用も難しかったと推測できます。
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DFラインが強固であれば、もう少し久保選手に出場チャンスが与えられたと思われますが、故障で離脱したイボーラも中盤でゲームをコントロールするパレホもディフェンス時に計算できる選手ではありません。
あくまでもバランスを保ちながら綻びを作らない程度で、カゼミーロのような選手を有していないのが現実です。
中盤の底でバランスを修正できてフィジカル能力にも秀でた守備能力が高いDFラインの前でプレーする選手がいれば状況が違ったかもしれません。
有力候補ヘタフェでの起用方法!?
ヘタフェは昨シーズンにプレーしたマジョルカと似たプレーモデルを有するチームです。
ホセ・ボルダラス監督が2016年から指揮を執っていて日本代表の柴崎岳選手も所属していた経験があります。
フィジカルコンタクトに強くソリッドな守備からのカウンターが戦術の主体で、攻撃に特徴があるチームではありません。
中盤でゲームを組み立てるもが持ち味の柴崎選手も中央でプレーするには安定感に欠ける事が理由で前線やサイドで起用されていました。
守備よりも攻撃での向上を求めて久保選手を獲得するからには守備での負担よりもカウンター時の起点になるプレーからフィニッシュまでを期待されるポジションでの起用が有力です。
4-4-2のFW、実質4-4-1-1の2列目的なポジションでのプレーが有力でしょう。
チームが勝ち点を獲得して降格圏争いから抜け出せれば力が拮抗した相手との対戦時は右サイドMFでの起用も考えられると思います。
現時点でEU圏外選手を6人抱えていてセントラルMFのマクシモビッチ、アランバリの起用を優先すると思われますのでマジョルカ時代の同僚でコロンビア代表のクチョ・エルナンデスとの共演はしばらく見られない可能性が高いでしょう。
現状を打開したいヘタフェでは移籍当初では積極的に起用されると思いますが、ビジャレアル同様、期待を下回るプレーが続けばメンバー入りも難しい状況も考えられます。
まずはチームで奪ったボールを失わずに攻撃に転じる際のプレーがポイントとなりそうです。
選択肢が少ない場合はファールを誘うプレーも久保選手の特徴の一つでもあるので、リズムを創りながら相手陣内で前向きにプレーする場面では味方選手のサポートを待つよりも積極的に仕掛けて個人での局面打開に活路を見出して欲しいと思います。
GK:ジャニャス
右サイドDF:ニョム
センターDF:カバコ
センターDF:ジェネ
左サイドDF:ククレジャ
右サイドMF:ポルティージョ
セントラルMF:アランバリ
セントラルMF:マクシモビッチ
左サイドMF:ティモール
FW:久保建英
FW:マタ
オプションとしては3-4-2-1でセンターDFを3枚にしてサイドMFにククレジャ、ニョムを起用、久保選手をシャドーで起用する布陣も考えられるでしょう。
ヘタフェ以外の場合は!?
レンタル料金の捻出が困難でヘタフェへの移籍が実現しなかった場合に考えられるのはビジャレアル残留です。
エメリ監督がコメントしたように本人に残留の意思が無ければ起用できないのは当然の話で、よっぽどの事情が無い限り残留は避けたいのが実情です。
ロドリゴが負傷してEU圏枠に現状、空きがあるレアル復帰も考えられますが、出場機会を求めて移籍するのに、より難しいと思われる現時点の復帰は望ましいとは言えません。
開幕前にレンタル先の噂があったレアル・ソシエダ、ベティス、セビージャも現状、久保選手のような特徴を持つ選手の獲得のプライオリティが低いと考えられます。
ヘタフェ以外であれば状況が似ているアラベス、バリャードリードが良いと考えられますがやはり、レアルの本拠地マドリードのチームでもあるヘタフェが理想の移籍先だと思います。
いずれにしても、移籍へ動き出した現状では環境を変えて新たなチャレンジに全力で臨むことが一番なのは間違いないでしょう。
プロである以上は結果が物を言いますが、目に見える結果だけでなくチームにとって必要不可欠な存在になることが能力を発揮する為に重要なメンタルの安定に繋がる要素だと思います。
久保建英選手の挑戦を私たちも、焦る事無く楽しみたいですね!!
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