久保建英ビジャレアル開幕戦リーガ・エスパニョーラを考察!!
日本の至宝、久保建英選手の活躍が期待される2020-21シーズンのリーガ・エスパニョーラが、いよいよ開幕します。
昨シーズン、マジョルカでのプレーが評価されて今シーズンはリーグ5位の成績を残したビジャレアルに1年間のレンタルで加入した久保建英選手は日本時間9月14日深夜1:30にFW岡崎慎司選手が所属するSDウエスカをホームに迎えて対戦します。
今シーズンの久保建英選手とビジャレアルを占う開幕戦をプレシーズンの状況と予測を含めて考察してみます。
久保建英ビジャレアル、プレシーズンマッチの内容
昨シーズン5位の好成績を残し、EL(ヨーロッパリーグ)への出場権を獲得したビジャレアルはセビージャ時代にEL3連覇に導いたウナイ・エメリ氏を新監督に迎えました。
主力選手だったMFカソルラはカタールへ移籍しましたが、MF久保建英、財政難で主力選手を放出せざる負えなくなったバレンシアからMFパレホ(元スペイン代表)、MFコクラン、ブンデスリーガのドルトムントからはFWパコ・アルカセル(元スペイン代表)を獲得して昨シーズンとは別のチームへの変革が求められています。
ディフェンス陣とエースのFWジェラール・モレノ(スペイン代表)、MFチュクウェゼ(ナイジェリア代表)とセビージャ時代のEL3連覇にエメリ監督の下で貢献したMFイボーラは健在で、いかにして新旧メンバーを融合させるか監督の手腕が問われることになります。
プレシーズンマッチ初戦は実質3部のカルタヘナに3-1で勝利し、久保建英選手は後半から4-2-3-1の右MFで出場しました。
2戦目は2部テネリフェと対戦して2-3で敗戦しますが4-4-2の右MFでスタメン出場で前半のみで退きましたがプレスキッカーを任されています。
バレンシアとの3戦目は後半途中から4-3-3の左FWで出場、1-2での敗戦に終わりました。
ここまでの3試合を見るとシステムやポジションを固定せずに選手の特徴や組み合わせを試している段階だったと思われます。
4戦目はリーガでも強敵と予想されるレアル・ソシエダとの対戦です。
ソシエダはマンチェスターCから補強したMFダビド・シルバを新型コロナウイルス陽性のため、ビジャレアルはスペイン代表に招集されたFWジェラール・モレノを欠いた布陣でしたが久保建英選手はスタメンで4-2-3-1のトップ下で出場しました。
後半途中からは左MFにポジションを変えて80分過ぎまでプレー時間を与えられます。
2-0で勝利して久保建英選手は徐々に味方選手との連携を深めてきている印象を受けました。
トップ下、右MFで出場した場合は久保建英選手の特徴を活かすプレーが連携面も含めて見られるようになってきましたが、左MFの位置ではポジショニングと連携面でまだまだ改善の余地があるとの印象を受けました。
ビジャレアルの戦術をレバンテ戦から分析
開幕前、最後のゲームとなるレバンテ戦から今シーズンのビジャレアルの戦術を分析してみます。
極端な戦術を採らずにバランス重視で選手の特徴を活かすタイプのエメリ監督はビジャレルでも継続した考え方で指揮を執っていると思います。
システムは4-2-3-1もしくは4-4-2を採用していますが、トップの選手がFWかMF登録の違い位で各ポジションに求められる要素は変わらないと思われます。
ボールを失った場面では近くにプレスを掛けれる選手がいれば奪いに行くアクションを起こしますが、連動できない場合は後退してバランスを整えています。
高い位置から連動して追い込む場合も相手GKまでは行かずにバランスを重視して強烈なプレッシングは行いません。
相手チームに押し込まれた場合は4-4-2でブロックを作りますが、強度が高くはないディフェンスは上位チーム相手ではサイド、中央からも崩されてしまう可能性が高いでしょう。
ビルドアップはグラウンダーで丁寧に繋ぐスタイルです。
組立の中心は新加入のパレホを経由する比率が多く、中央でパスを引き出せない場合は、左DFのペトラザが高い位置をとり、パレホが下がって受ける仕組みでボールを動かします。
時折、鋭い縦パスを通しますがパレホは基本的にゆっくりサイドへボールを振りながら前進を促す組立を得意としているようです。
セントラルMFでコンビを組むイボーラとは程よいバランスが取れていて守備面での不安は拭えませんが、ボール保持時のゲームコントロールに問題は感じません。
サイドDFは左のペトラサが攻撃に特徴がある分、右のマリオ・ガスパールがバランスを重視してプレーしている印象です。
ロングボールはほとんど見る事は無くサイドを拠点に連携で相手守備陣に侵入していくスタイルで攻撃しています。
右MFのチュクウェゼはドリブルが得意で単独での突破も期待できますがサイドに張って1対1を挑むような戦術は取り入れていないようです。
カウンター攻撃はほとんど無いので昨シーズンのマジョルカで久保建英選手が魅せた個人技で複数人を攻略するような場面は見られず、複数選手が連動して崩すイメージです。
左サイドの攻撃はペトラサのオーバーラップが多くチーム全体で上がっていくのでエリア内にも人数をかけて攻撃するスタイルが多く見られました。
エースのFWジェラール・モレノを代表戦で欠いていた為、前線の組み合わせは明確に思い描けませんが、チーム一の得点力を誇り、中盤にも降りてチャンスメークでも能力を発揮する彼の能力をどのように活かすかが今シーズンのビジャレアル攻撃陣のキーポイントとなるでしょう。
ビジャレアル開幕戦のスタメン予想
GK:セルヒオ・アセンホ
右DF:マリオ・ガスパール
センターDF:アルビオル
センターDF:パウ・トーレス
左DF:ペトラサ
右MF:チュクウェゼ
セントラルMF:パレホ
セントラルMF:イボーラ
左MF:モイ・ゴメス
トップ下:久保建英
FW:ジェラール・モレノ
開幕戦を2部から昇格したSDウエスカをホームで迎え撃つビジャレアルのウナイ・エメリ監督の心理は負けは許されないが、サポータの支持を得るためにはゲームをコントロールして攻撃的にプレーする姿勢をアピールする2つのタスクが最重要事項だと推測できます。
昨シーズンの戦力を維持しながら新戦力を融合させるにはプレシーズン期間が短く、理想の戦術はシーズンを戦いながら構築していく必要が求められるのが現状でしょう。
基本的は戦術は前途の通りバランス重視で選手の特徴と組み合わせの掛け算でチームを構築していくと予想されます。
プレシーズンと選手の特徴を考慮して筆者が予想するスタメンです。
オプション、プランB・C
ディフェンスでのオプションはビッククラブと同等のバックアップ選手層を確保できないので、対戦相手と出場時間を含めたコンディション面を考慮した選手起用が考えられます。
中盤セントラルには新加入のコクランが運動量とバランスでは貴重な戦力として計算できる選手であり、組み合わせと対戦相手用の対抗戦術を考える上では重要な選手でしょう。
パコ・アルカセルはドルトムントで途中出場ながら驚異的な得点率で勝利に貢献した実績があり、エメリ監督の考え方次第では勝負所の時間帯で切り札的な起用方が有効だと思います。
上位チームとの対戦時に強固な守備ブロックから前線で起点を作りたい場合はバッカ(コロンビア代表)選手の起用も有効的だと考えられます。
守勢が予想される展開ではトップ下にイボーラの起用も機能すると思いますが、久保、モレノ、チュクウェゼ、パレホの特徴的な能力を活かしたプレーモデルを構築して欲しいと思います。
プレシーズンの戦いぶりを見ると左MFに絶対的な存在がいないのが現状だと思います。
左DFにペトラサが定着した場合の左MFの戦術的ポジショニングは、サイドではなく内側のレーンに移動して外側にスペースを創りながら中央でのチャンスメークと右サイドからの崩しに応呼してゴール前に侵入するアグレシブな動きとゴールを決める決定力を求められるでしょう。
久保建英選手は左サイドに張り付いて個人技での単独突破よりも内側のデイフェンスブロックの隙間を利用したポジショニングにも能力を発揮しているので左MFとして戦術的タスクを担いスタメン出場する可能性は非常に高いと分析しました。
久保建英と日本サッカーの未来
日本代表がワールドカップで優勝する夢と久保建英選手が世界のトップを担う存在になるのは共通項に近いミッションだと思います。
日本を代表できる選手でトップランナーとしての期待感が久保建英選手のモチベーションの一部になっているのは間違いないでしょう。
世界を魅了する魅力的なサッカーで勝利を目指すバルセロナのカンテラで育ち、世界有数の突出した選手の個性を結果に繋げたいレアル・マドリードと契約する久保建英選手の可能性は日本人の想像を超える貴重な才能だと思います。
久保建英選手も日本人の血を引いているからか、チームメイトの才能を引き出すインテリジェンスに長けている影響なのか、スペイン移籍直後は話題先行の選手として煙たがれる存在だった事もあると思われます。
しかしながら、競争する土俵がサッカーであれば久保建英選手の適応力は周囲が認識する順応期間を超越して、自身の成長とチームへの貢献度を誰のが認めるプレーを披露して来ました。
久保建英選手がチームの勝利に貢献することで自信を深めて、夢を実現するためにチャレンジすることで日本代表、日本人サッカー選手の可能性が広がる事への使命感はすでに感じていると思います。
選手だけではなく、指導者、クラブ経営者、協会、が成功するためのスピリッツを持ち、サッカーと子供たち、世界と運命を共同する覚悟が有れば金銭的な利益よりも文化的持続が貴重な世界になってきていることに気が付くと思っています。
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